低利用資源であるヨシキリザメの筋肉部について,その酢じめかまぼこ原料としての適性を明らかにすることを目的とし,その製造に必須とされる工程について検討を行った.本種筋肉から調製したホモジネートをインキュベート(30-90℃,pH 6.8および15℃,pH 2.5-6.0)した結果,いずれの条件においてもミオシン重鎖の大きな分解はみられず,本種筋肉の内在性プロテアーゼ活性は,低いということが示唆された.また,本種筋肉が坐りゲルを形成しない原因は,その内在性トランスグルタミナーゼ(TGase)活性の低さにあることが示された.本種筋肉に微生物由来TGase(MTGase)を添加した試料は坐りならびに酢じめゲルを形成し,それらの破断強度はMTGaseを3%添加した際に最大値を示した.一方,MTGase無添加試料は両ゲルを形成しなかった.これらの結果より,本種筋肉を原料とする酢じめかまぼこの製造には,MTGaseの添加による坐りの導入が必須であることが明らかとなった.