親密関係では共同規範に従った恩恵の授受を行うことが理想とされる。本研究は,我々は親密関係において常に共同規範を遵守するわけではなく,関係相手の応答性に応じて共同規範を柔軟に調節していること,また,そのプロセスが愛着不安によって調整されることを検討した。2つの調査(調査1の参加者は150名,調査2の参加者は188名)の結果,親密関係において相手が自分に対して非応答的であった過去の出来事を想起した人は,想起しなかった人よりも,共同規範を弱めていた。ただし,愛着不安の強い人は,恋人の非応答性を想起すると共同規範を強めていた。これらの結果は,親密関係におけるリスク制御という点から考察された。