日本では大学の評価や質保証が2004年に本格導入され,10年が経過した.現在の新たな論点は,大学の中に「内部質保証システム」をいかに形成するか,同時に,大学改革が求められるなかでいかに実績を測定し,強みをさらに強化していくのか,である.その中で日本でもInstitutional Research 機能が導入され,学修成果測定や,戦略企画・評価の高度化が行われるようになりつつある.しかし,その助けとなるべき国レベルの共通的データベースが日本には欠けていた.本稿では,日本での新たな教育情報公開サイトである「大学ポートレート」やその背後のデータウェアハウスの状況を説明するとともに,過去のデータの分析から分野間で各種データの分布状況には大きな差異があり,データ収集や分析を実施する単位や比較対象の設定に注意が必要であることを述べる.今後,共通基盤を用いた定量的分析と,大学改革実績や学習成果の把握などの定性的分析の両面について,よりシステマティックな分析が必要となる.