いくらの品質を客観的に評価するための方法を確立するために,破断強度測定といくら卵膜の構成タンパク質量を調べた. (1) いくら製品の等級は卵の成熟度で分けられている.その等級が低下するに従って,破断強度が上昇した.また卵膜成分である47kDa成分の減少とSDS溶液への膜成分の可溶化率が低下した. (2) 原料卵を5∼25°Cで貯蔵すると,貯蔵温度が高いほど,時間の経過とともに47kDa成分の減少とSDS溶液への膜成分の可溶化率が低下していた.塩漬卵でも塩漬後貯蔵中に同様の変化が起こっていた. (3) 塩漬後貯蔵中に47kDa成分の減少とSDS溶液への膜成分の可溶化率の低下が起こっていた. (4) 以上の結果から,いくら品質の評価には卵膜の可溶化後の遠沈法やSDS電気泳動による分析が有効であることが分かった.