醤油粕脱塩時に排出される液(脱塩液)の有効利用法を開発するため,それを含む培地で醤油主発酵酵母Zygosaccharomyces rouxii ZR 510株を培養し,諸味に添加して醤油を醸造した後,品質を評価した. (1) 脱塩液を加えた培地中での酵母濃度は,最終的に生揚醤油を加えた場合の96%に達し,特に悪影響はみられなかった. (2) 脱塩液及び生揚醤油を含む培地で培養した酵母を別の諸味にそれぞれ添加したところ,両者とも同程度にアルコール発酵が進み,最終的なアルコール濃度も同水準となった. (3) 脱塩液を酵母培養に利用しても,醤油の主要成分含量や官能検査結果もほとんど差異がなかったので,通常と同等の醤油製品を醸造できることが確認できた.