クワカミキリ成虫に対する Beauveria brongniartii の野外での殺虫効果を調査した。石川県内灘町ニセアカシア・エノキ混交林において, 多数のクワカミキリの被害が発生しており, ニセアカシアが産卵木として, エノキが後食木としてクワカミキリに利用されていたことが推察された。調査はこの海岸林の0.75ha調査区にあるエノキで2003年に実施した。クワカミキリ成虫に対する殺虫効果を試験するために, 調査地の一部のエノキに昆虫病原糸状菌 Beauveria brongniartii を培養したシート型不織布製剤を懸架した。不織布製剤施用41日後までの捕獲した成虫の感染死亡率は55.0%であり, 施用21日後に最大値を示した。不織布製剤施用41日後までにマーキング後再捕獲された個体の44.4%が, 感染死体でみつかった ( n =18)。この結果から, クワカミキリ成虫が集中する後食木に B. brongniartii を培養したシート型不織布製剤を施用することにより, クワカミキリを高率に感染させられる可能性が示唆された。