本研究の目的は, 教室における学生の着席位置が個人空間 (personal space) の概念によって説明できるかどうかを検討することである。2つのクラス計151名の女子短大生の受講時の着席位置が, 1学期の間, 10回にわたって追跡記録された。その着席位置に従って, 学生たちは, 4つのゾーン群 (前方, 中央, 後方, 左右両端) に分けられた。学期の最終講義の時に, 学生たちは, 対人距離テストを受け, その中で, 親近性の異なる3人物と面談するときの最適距離をそれぞれ示すように求められた。結果によると, 着席ゾーンが前方であるほど, そして, 対象人物の親近性が高いほど, 対人距離スコアが低かった。これは, 教室の前後軸に沿った学生の着席位置が教師との距離の調整の反映であることを示唆している。