アサクサノリにふくまれる脂質の酸化しにくい理由を明らかにし, あわせてアサクサノリ脂質の組成を知るため, 脂質を分離しその性状を調べたところ, つぎの結果を得た。 (1) アサクサノリ脂質はC20 : 5酸に富み, とくにリン脂質は該酸を50%以上ふくんでいた。 (2) アサクサノリ脂質中トリグリセライドは25%, リン脂質は35%程度であった。 (3) リン脂質はホスファチジルエクノールアミン (30.6%) レシチン (23.6%) を主とし, リン脂質の脂肪酸中55%はエイコサペンタエン酸であった。 (4) アサクサノリの組織を染色し, 脂質の存在状態を調べたところ, 脂質は細胞膜外膜および細胞膜にとりかこまれていた。 (5) リン脂質は対照として用いたBHTと同程度の抗酸化性を有し, またシネルギストとしての効果も示した。